12月は、多くの経営者にとって「判断の月」です。
売上はどうだったのか、資金繰りは大丈夫か、そして毎年のように頭を悩ませるのが――
「これは年内に取り組んだほうがいいのか?それとも年明けでいいのか?」
という問題ではないでしょうか。
実はこの判断、タイミングを1週間ずらすだけで、税金や資金繰りに影響が出ることも少なくありません。
今回は、経営相談の現場で特によく話題にあがる「年末に迷いがちな判断」を5つ取り上げ、考え方のポイントを整理します。
目次
① 設備投資は「年内に実施するべき」なのか?

年末になると必ず出てくるのが
「今年、利益が出そうだから何か買ったほうがいいですよね?」というご相談です。
確かに、減価償却資産は取得時期によって今年の経費になるかどうかが変わります。
ただし、ここで注意したいのは「税金を減らすために、必要のない投資をしていないか」という点です。
・来年以降も確実に使うもの(売上に貢献するもの)か
・業務効率や利益向上につながるか
・運転資金を圧迫しないか
これらを整理せずに「年内だから」という理由だけで購入すると、節税できた以上に資金繰りが苦しくなるケースが多々あります。
判断の軸は「節税」より「事業に必要かどうか」。その上で、タイミングを検討することが大切です。
② 修繕費・メンテナンスを行うべき時期は?

エアコン、機械、設備の不具合。
「急ぎではないけど、そろそろ直したほうがいい」
そんな修繕を年末にまとめて行う企業も多いです。
ここでのポイントは「修繕費(経費)」なのか「資本的支出(資産)」なのか。
単なる原状回復であれば修繕費として経費になりますが、性能向上や耐用年数を伸ばす工事(資産の増加)になると、数年をかけて経費に計上をしていく減価償却になることもあります。
また、
・実際に作業が完了しているか
・請求書・支払のタイミングはどうか、 といった点も重要です。
「12月に発注したから今年の経費」ではなく、実態ベースで判断される点には注意が必要です。
③ 広告費・外注費は年内に出すべき?

「来年のために広告を打ちたい」
「HP制作やコンサルをお願いしようか迷っている」
このような場合も、年末判断が分かれます。
広告費や外注費は、サービス提供がいつ行われたかが大きなポイントです。
・12月に実施された広告 → 原則、今年の経費
・来年実施分の広告を年内に支払った → 前払費用扱いになる可能性「お金を払ったかどうか」だけではなく、いつ提供されたのかを整理しておく必要があります。
④ 役員報酬・賞与を年内に動かすべきか?
役員報酬や賞与については、「今年は業績が良かったから増やしたい」と考える方も多いでしょう。
ただし、役員報酬は
・原則として期中変更ができない
・変更すると損金算入できなくなる など、ルールが非常に厳格です。
一方、従業員賞与についても
・支給決定日
・支給日
・社会保険料の扱い など、年をまたぐことで負担が変わるケースがあります。
「気持ち」だけで決めるのではなく、顧問税理士と相談しながら制度と数字を見た上で判断することが重要です。
⑤ 「とりあえず経費を使う」は本当に正解?

年末になると、「使わないと損」「経費を残すのはもったいない」という空気が生まれがちです。
しかし、経費はあくまで事業を継続・成長させるための支出です。
無理に使えば、来年の資金繰りが苦しくなったり、本来やりたかった投資ができなくなるといった本末転倒な結果にもなりかねません。
また事業を発展させていくためには、来年度以降にも投資できるだけの「利益」「投資用の資金」を積み重ねていくことが重要です。
単に無駄な経費を計上して節税をするよりも、税金を支払ってでも来年以降のために利益を積み重ねていくという考え方を持つ必要があります。
大切なのは、「今年の税金」だけでなく「来年の経営」まで見据えること。年末は、その視点を持つ良いタイミングでもあります。
年末判断で迷ったら「一人で抱え込まない」

以上のように、年末の判断は「正解が一つ」ではありません。
会社の規模、業種、資金繰り、将来計画によって答えは変わります。
だからこそ、 「これはどのように考えたらいいんだろう?」と感じた時点で、専門家に相談することが重要です。
数字を整理し、選択肢を並べ、社長自身が納得して決断できる状態をつくる。それが、年末を安心して迎える一番の近道です。
年末の忙しい時期だからこそ、一度立ち止まり、来年につながる判断を行うお手伝いを当事務所では行っています。
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