年末が近づくと、以下のような思いを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「年初の計画と実績の隔たりが気になり始めた」
「年内に終わらせなければならない仕事に追われ、重要な課題に手をつけられていない」
「来年度の構想を考える時間がなく、現状では経営判断することが難しい」
日々の業務は進んでいるにもかかわらず、どこか“引っかかる感覚”が生まれやすい――。
これは年末に向けた時期特有の現象であり、経営判断にとって重要なサインでもあります。
本記事では、中小企業の経営相談を行う中で見えてきた、
11月に経営者が抱えやすい課題の背景と、その向き合い方をお伝えします。
11月に“課題意識”が高まりやすい理由とは

11月は、経営環境や組織の状態が変化する節目であり、経営者の内側で課題が浮き彫りになりやすいタイミングです。
以下に主な理由を整理します。
① 年初の計画と現状の差異が明確になる時期
11月は、経営計画の達成度が数字にも行動にも明確に表れ始める時期です。
・売上は伸びているが、思った以上に利益として残せていない
・投資した取り組みの成果が見えにくい
・新規事業が当初の計画よりも進んでいない
・採用が予定通りに進まず、組織体制が整わない
こうした経営上の重要な「乖離」が可視化され、経営者にとって思考の負荷が高まります。
② 現場の繁忙と、経営判断の停滞が生まれやすい
年末に向けて現場の業務量が増える一方で、経営者は来年度の意思決定を進めなければなりません。
しかし、現場の忙しさと来年度を見据えた経営の意思決定の両立が難しくなり、“実務だけで精一杯でに、組織の意思決定は進みにくい”という状態が起こりがちです。
このギャップが、漠然とした組織の停滞感・課題感につながります。

③ 組織の疲労や役割の歪みが表面化する
11月は、組織の内側に潜んでいた課題が露呈しやすい時期でもあります。
・幹部層の負荷が高まる
・若手社員の不安感が表に出る
・役割や責任の曖昧さが気になる
・評価や処遇への不満が噴き出しやすい
経営者としては、年末の繁忙期を控える中で「年内に何か手を打つべきか、来年に持ち越すべきか」の判断に迷いが生じます。
④ “今年の総括”と“来年の準備”という二重の負担がかかる
11月は、「今年の振り返り」「来年の計画策定」という二つのテーマが同時にのしかかるため、自然と課題意識が高まります。
どちらを先に進めるべきか迷いやすく、意思決定が滞りやすくなるのです。
課題意識の高まりは“変革の予兆”

11月に抱く不安や違和感は、決してネガティブなものではなく、「次のステージに進むための前兆」と捉えることもできます。課題意識が高まることで、次の打ち手に早期に向き合うことができるでしょう。
・採用戦略の再設計
・組織体制の再構築・役割分担の整理
・外部人材の活用
・新規事業の方向転換
「課題意識」を“整理”する時間を持つことが重要
11月に必要なことは、課題を無理に“解消”するのではなく、まずは状況を丁寧に“整理”することです。中小企業相談士として支援する際も、このタイミングでは「問題解決」よりも「構造整理」を優先します。

■ 課題を整理するための3つの視点
① 「人」か「数字」か「未来」か、どの領域の課題感なのかを切り分ける
→ まずは関心事を大分類で分けることが、思考の整理につながります。
② “今年できたこと”と“できなかったこと”を分けてどれくらい達成できたのかを整理する
→ 整理してみると、実は年初の計画よりも前に進んでいることが多い場合がほとんどです。
③ 来年の理想状態を“抽象度高く”描く
→ 具体的な計画よりも、まずは方向性を明らかにすることが重要です。
11月に取り組むべきこととは

相談実務から導かれる、11月に特に有効な3つのアクションを紹介します。
① 来年に持ち越したくない“重要テーマ”を3つに絞る
抱えている課題をすべて解決しようとすると思考が散らばります。経営判断を進めるためには、優先順位を明確にすることが不可欠です。
例:・採用の方向性の明確化
・幹部の役割設計
・評価制度の見直し
・経営数字の再点検
② 組織の状態を棚卸しする
11月は、組織の“今”を掴むのに最適です。
・負荷の偏り
・業務の属人化
・役割の曖昧さ
・組織の機運
軽い棚卸しでも、来年の組織づくりに大きなヒントが得られます。
③ 年明け最初の“一手”だけ決めておく
細かな計画は後でも構いません。
しかし年始に何から着手するのかを決めておくことで、翌年のスタートダッシュが格段にスムーズになります。
また、年末の忙しさで手を付けることができなかった来年度の計画について、いつまでに手を付けるのかという明確な期限を設定することも重要です。
課題意識は“相談”によって言語化される
11月〜年末に相談を開始する企業は、年明けの経営判断が明確になり、1〜3月の採用や組織改善の成果につながりやすい傾向があります。
外部の専門家に相談することで、経営者自身の思考もクリアになり、次の一手が自然と見えてくるものです。
橋本経営相談事務所では、経営者の思考の整理や組織課題の可視化などのご相談も受け付けております。お気軽にこちらからお問い合わせください。