1.なぜ銀行へ決算書を提出するのか
決算書は、銀行が企業の財務状況を把握する上で、融資の審査や取引条件の見直しなど、適切な融資判断を下すための基礎的な書類となります。決算書を適切に準備し、正しく提出することは、企業の信用を高める上でも欠かせません。
銀行に決算書を提出する際に、「どの書類を準備すればよいか」「銀行員はどこをチェックするのか」と悩む経営者の方は多いでしょう。本記事では、銀行提出時に必要な書類と、銀行員が注目するポイントを分かりやすく解説します。
また、当経営相談事務所スタッフは銀行での勤務経験を持っております。その知識を活かし、銀行の評価を高めるポイントも紹介します。
2. 銀行に提出すべき書類と提出時期・手順

銀行に決算書を提出する際には、以下の書類が求められます。
- 決算書(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書等): 企業の財務状況を確認するための基本資料です。
- 法人税確定申告書: 企業の納税状況を把握するために必要です。
- 勘定科目内訳書: 各勘定科目の詳細を示す書類で、取引先や取引金額等、財務内容の中身を深く理解するために確認されます。
- 資金繰り表(必要に応じて): 企業の資金の流れを示し、安定した運営ができているかを確認します。
- 試算表(最新のもの): 直近の財務状況を把握するために提出を求められることがあります。
事業計画書(融資を希望する場合): 事業の将来性や収益性を示し、銀行に対する信頼を築くための重要な書類です。

決算書の提出時期は、通常、決算期が終了した後に税務申告を終えたタイミングとなります。具体的な流れは以下の通りです。
- 決算書の作成(決算期終了後1〜2ヶ月以内): 税理士や会計士と相談しながら決算書を作成します。
- 法人税の申告(決算期終了後2ヶ月以内): 確定した決算書をもとに税務申告を行います。
- 銀行への提出(申告後速やかに): 銀行から提出を求められた場合、決算書とその他の関連資料を用意して提出します。
- 追加資料の対応: 必要に応じて、銀行から追加の資料を求められることがあります。
適切な時期にスムーズに提出することで、銀行からの信頼を得ることができます。
3. 銀行員が重視するポイント

銀行員は、以下の点を重点的に確認します。
- 財務の健全性: 自己資本比率や負債比率、流動比率をチェックし、企業の支払い能力を評価します。
- 収益性: 営業利益や経常利益の推移を確認し、事業の採算性を見極めます。
- 保有資産:預金や不動産など、不測の事態に備えて返済できる資産を把握します。
- 資金繰りの安定性: 売掛金・買掛金のバランス、借入金の返済能力などを分析し、資金が適切に回っているかを確認します。
- 事業の将来性: 市場環境の変化に適応できるか、経営者のビジョンが明確かどうかを評価します。
4. 銀行評価を高めるポイント
銀行の評価を高めるためには、以下の点を意識するとよいでしょう。
- 決算書の整理と説明: 収支の内容を理解し、明確に説明できるようにしておく。
- 資金繰りの管理: 資金繰り表を作成し、計画的な資金の流れを示す。
- 事業計画の明確化: 新規事業や今後の戦略を示し、銀行に事業の将来性を伝える。
- 銀行との良好な関係構築: 定期的に経営状況を報告し、信頼関係を築く。
5. まとめ
銀行に決算書を提出する際には、必要な書類を整え、銀行員が注目するポイントを理解しておくことが大切です。財務の健全性や事業の成長性を示し、具体的かつ適切な説明ができるように準備することで、融資の可能性を高められます。
当経営相談事務所では、元銀行員の知見を活かし、決算書の整理や銀行対策のアドバイスを提供しています。融資や銀行対応についてお困りの際は、ぜひ一度、橋本経営相談事務所へご相談ください。
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