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7〜9月の資金繰り対策ガイドー季節変動期に備える中小企業のキャッシュフロー管理術 ー

7〜9月の資金繰り対策ガイドー季節変動期に備える中小企業のキャッシュフロー管理術 ー

7月から9月は、売上の鈍化や支出の増加などにより、資金繰りが悪化しやすい時期です。
特に中小企業や小規模事業者においては、賞与、先行投資、季節的な売上変動といった要因が重なり、キャッシュフローが不安定になるケースが少なくありません。

本記事では、中小企業診断士の立場から、夏季の資金繰り対策および補助金・融資制度の活用方法について、整理・ご提案します。

資金繰りを圧迫する、夏季特有の3つの要因

① 賞与支払いの集中

従業員を雇用している企業にとって、6〜7月に発生する賞与支払いは大きなキャッシュアウト要因です。
例年通りの支給であっても、平常月に比べて支出が突出するため、あらかじめ見越した資金計画が必要です。

② 売上の季節的停滞

業種によっては、7〜8月に売上が落ち込む傾向があります。特にBtoB領域では、取引先企業の決裁や業務進行が一時的に停滞することが多く、入金遅れや受注減のリスクが高まります。

③ 秋冬の仕入れ・先行投資の前倒し

年末商戦や冬期需要を見越した仕入れ、設備投資、マーケティング施策が夏場からスタートするケースも多く、通常月に比べて運転資金の負担が増加します。

借入の前に検討したい資金繰り改善の工夫

資金繰りに不安を感じた場合、すぐに金融機関への相談や融資申し込みを検討する企業も少なくありません。
しかし、その前に自社内で調整できる余地がないかを見直すことが、柔軟な対応とリスク分散につながります。

① 支払条件の再調整

  • 仕入先や取引先と支払サイトの見直しを交渉
  • 賞与の分割支給や支給月の柔軟な設定
    など、短期的な支出バランスを調整する手段を検討します。

② 資金繰り表の作成と可視化

3か月〜6か月先までの資金繰り表を作成し、週単位で入出金の予定を明確にすることで、資金ショートの可能性があるタイミングを事前に把握できます。
この資料は、金融機関との交渉材料にもなります。

③ 売上構造の見直し

  • 入金サイトを短縮できる商品・サービスの導入

サブスクリプションや前払い制の活用
などにより、キャッシュインを前倒しする工夫も有効です。

活用可能な補助金・支援制度

時期に応じて、国や自治体が中小企業の資金繰り・業務改善を支援する各種制度を設けています。特に夏から秋にかけては、申請受付が始まる制度も多いため、タイミングを逃さず活用することが重要です。

主な支援例(※地域・年度により変動あり)

・小規模事業者持続化補助金(販促・設備費など、50万円~250万円)

・新事業進出補助金(新事業の立ち上げなど、750万円~9,000万円)

・セーフティネット保証制度(4号・5号):コロナ等の天災・業界全体の業績悪化時に借入保証支援

・保証協会・よろず支援拠点:専門家派遣、無料相談支援

補助金活用や資金繰り対策には、事前の準備や計画を立てることが重要です。早めに支援機関や専門家と連携し、自社の状況に合った制度・活用方法を選ぶことが肝要です。

資金繰り対策は、経営改善の第一歩

資金繰りの改善は一時的な課題解決ではなく、経営全体の見直しにもつながります。


この夏は、「資金繰りの可視化」「費用構造の見直し」「収支バランスの整備」といった経営状況の見える化を実施し、経営の土台を整える絶好のタイミングです。

中小企業診断士は、お金まわりの課題についても、現場目線で実務的な支援を行っております。
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